押田　了写真集　浅,草,時,代, 漫才黄金期の浅草の活気が溢れる

日本の押田了氏の写真集。

押田了の経歴はネットと写真集のみであまり定かではなく、1950年福島県に生まれ、1974年成城大学中退し、その後銀座ガレリアグラフィカや新宿マットGROSSO、70年代後半に独立ギャラリーcampで写真イベントを開催していますが森山大道の撤去事件をへて。1979年には「浅草時代」の中から 90点 ほど 銀座 NIKONサロンにて写真展を開催しています。 その後 神戸などで 写真展を開催しますが、音通不明になりました 。
それから 押田は突然 1994 年に 日本がインターネットや Windows95で沸き返る 1年ほど前 、パパ・ インターネットの中で初めてフォトギャラリーfotojavaをオープンし、国内初の有料インターネット・ギャラリー荒木経惟展を開催します。
　当時はダイヤルアップで、128kほどのrate/secの通信速度の時代で、いかに小さく写真データを圧縮して階調を落とさず表現するかできそっていたのですね。
　fotojavaではMSN(Microsoft ネットワーク)の中で、初めて荒木経惟を世界に紹介し話題になります。しかし翌年には突然閉鎖されましたが、理由は公にはされてませんが作家との確執があったようです。Yahoo!Japanと同時期で鮮烈な印象を残しました。ホリエモン や今話題の ひろゆきは さらに2,3年後になります。

　刊行された写真集もおそらくは本書のみと思われますが、その内容がとても素晴らしい。舞台は70年代「浅草」。新劇場、ロック座、フランス座。演劇やストリップなど下町の大衆劇場として栄え、役者や芸人の登竜門でもあった街。年中催しや祭りが行われているような「劇場」。
　
　著者は25歳の時に結婚を機に下町暮らしを始め、人々の生活、風采、形相に引き込まれ、人情に満ちた浅草の人々をスナップしていきます。
　中には駆け出し時代のビートたけし（北野武）も登場。役者、歌手、芸人、力士、ストリッパー、ボーイ、そしてそこで暮す人々の着物姿など。
　渡辺克巳らの作品を想起させますが、アーバンな「新宿」とは異なる、東京下町・ダウンタウンの古き良き「浅草」カルチャーと70年代の息吹が凝縮された知られざる傑作。

編集・長谷川明。デザイン・油谷勝海。