「足立区民の本」とあるように、地域の文学サークルの作品をまとめています。
著者の身内でもない限り、お付き合いで読むのは大変でしょうが(私は足立区内でないし、著者を知っているわけではないので。念のため)、とはいえ表題作「風よわが面に吹け」…単なる同人誌的な扱いではすまない、戦国ファンには無視できないテーマを扱っています。
二度に渡る国府台合戦。
その第二次の戦いで北条方として参戦し、現在の足立区伊興で戦死したとされる千葉勝胤。
言うまでもなく平良文以来の名門・千葉氏の末裔です。
ところがその勝胤には、それ以前に北条氏康のために密かに殺されていた…という疑いがあるのです。
何のために？
名門・千葉氏の末裔は北条にとって目障りだったから？
そればかりでなく、里見による鎌倉焼き打ち、その後の鶴岡八幡宮再建において北条と深刻な確執があったから？
真相は闇のなか…。
その真相を勝胤最期の地・伊興の地元から突きとめていく歴史ミステリー…と来れば、これはまあ素人の作文とは言いきれない興奮を呼び込みます。
併収の「転覆」(西原健次)は現代小説です。
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